仕事・労働・勤務

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「仕事」「労働」「勤務」という言葉は、私たちの日常では混ざり合って使われますが、その成り立ちやニュアンスを紐解くと、それぞれが捉えている「焦点」が大きく異なります。

これまでの歴史的背景や法的定義を踏まえ、それぞれの違いを解説します。


1. 「仕事」:価値を生む「内容」と「成果」

「仕事」は、三つの中で最も広義で、かつ**「価値の創出」**に焦点を当てた言葉です。

これには「椅子を作る」「システムを構築する」「家事をする」など、何らかの目的を持ってエネルギーを注ぎ、結果(作品やサービス)を残すという能動的な響きがあります。

  • 本質: 「何を成し遂げたか」という成果や、自己実現といった人間的な側面が強くなります。賃金の有無に関わらず、ボランティアや育児も「仕事」と呼ぶことができるのは、そこに明確な目的と成果が存在するからです。

2. 「労働」:契約に基づく「エネルギーの提供」

「労働」は、より**「経済的・法的」**な側面が強く、自身の時間や労力を「対価(賃金)」と交換する行為を指します。

法律(労働基準法など)で定義されるのもこの言葉であり、使用者の指揮命令下で働くという「従属性」が強調されます。

  • 本質: 「生存のためにエネルギーを売る」という側面があり、生活の糧を得るための受動的なニュアンスを含みます。前の回答でも触れた通り、アレントの定義では「消費して消えてしまうものを生み出し続ける循環」と捉えられます。

3. 「勤務」:組織に属する「形態」と「時間」

「勤務」は、最も**「場所」や「拘束時間」**、あるいは「組織への所属状態」にフォーカスした言葉です。

「勤務先」「勤務時間」という言葉があるように、特定の場所に身を置いていること、あるいは組織のルールに従って稼働している状態そのものを指します。

  • 本質: 「いつ、どこにいるか」という形式的な側面です。極端な例を言えば、職場で何も成果を出さずぼーっとしていても「勤務中」ではありますが、それは「仕事」をしているとは言えません。

まとめ:それぞれの関係性

これら三つの違いを現代のサラリーマンの文脈で整理すると、以下のようになります。

勤務している間に、会社との契約に基づいて労働を提供し、そのプロセスを通じて価値ある仕事を成し遂げる。

1920年代に「サラリーマン」という言葉が生まれた頃は、この三つが密接に重なり合っていました。「勤務(会社に行くこと)」=「労働(給料をもらうこと)」=「仕事(自分の使命)」という一体感があったのです。

しかし、現代のジョブ型雇用やリモートワークの進展によって、「勤務(場所の拘束)」が消え、「労働(時間の切り売り)」ではなく「仕事(成果の質)」が問われるようになるなど、この三つの境界線が再び引き直されています。

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