サラリーマンと事業主では**「税金に対する意識」には天と地ほどの差がある**のが一般的です。
この差は、単なる性格の違いではなく、日本の**税制システム(仕組み)**によって必然的に生み出されています。
1. サラリーマン:「引かれる」という受動的な意識
サラリーマンの多くは、税金を「自分で払っている」というよりも**「最初からなかったもの(天引きされるもの)」**と捉える傾向があります。
- 源泉徴収制度: 会社が本人に代わって計算・納税を済ませてくれるため、自分がいくら所得税や住民税を払っているか、正確な金額を把握していない人が少なくありません。
- 年末調整: 複雑な確定申告を会社が代行してくれるため、税金について考えるのは「12月に少しお金が戻ってくる(還付金)」というイベント時のみになりがちです。
- 「ガラス張り」の所得: 収入のすべてが税務署に把握されており、自分でコントロールできる余地がほとんどない(節税手段が極めて限定的である)ため、意識を高めても打てる手が少ないという諦めもあります。
2. 事業主:「自分でコントロールする」という能動的な意識
一方で、個人事業主や経営者は、税金を**「利益を圧迫するコスト(費用)」**として非常にシビアに捉えます。
- 申告納税制度: 売上から経費を差し引き、自分で税額を計算して振り込むため、「汗水垂らして稼いだお金が、今、目の前でこれだけ出ていく」という痛みを直接感じます。
- 「経費」への執着: 1万円の消耗品を買うことが「所得を減らし、税金を安くする」ことに直結するため、日常のあらゆる支出(家賃、光熱費、会食費など)に対して「これは経費になるか?」という思考が常に働きます。
- 納税予測と資金繰り: 利益が出すぎると翌年の税金が跳ね上がるため、決算前に投資を増やすなど、1年を通じて税務戦略を立てる必要があります。
3. この違いを生む「クロヨン(9・6・4)」という言葉
かつて税務の世界では、所得の捕捉率の違いを指して**「クロヨン(9・6・4)」**という言葉が使われました。
- サラリーマンの所得は9割(ほぼ100%)把握される
- 自営業者は6割
- 農業者は4割しか把握されない
という不公平感を表した言葉です。この「捕捉のされ方の違い」が、サラリーマンには「無関心」を、事業主には「いかに適正に(あるいは有利に)申告するか」という強い探究心を生んできました。
意識の逆転が起きる瞬間
最近では、サラリーマンであっても以下のような場合に意識が劇的に変わることがあります。
- 副業を始めたとき: 20万円を超える利益が出ると確定申告が必要になり、初めて「経費」の概念に触れます。
- ふるさと納税やNISA: 自分の手で「控除」や「非課税」の手続きをすることで、税金の仕組みに興味を持ち始めます。


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